借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
断る理由はない。私はおじさんが座ってから、真正面に腰を下ろした。
「いきなり連れてこられて、びっくりしたろう?」
「はい、あの……安田さんは、私の親戚か何かなんでしょうか?」
「いや、そうではないんだ」
じゃあ、おじさんが私の親戚?
とにかくわからないことだらけで不安しかない。
おじさんは私の気持ちを察したかのように、「何にも心配しなくていいから、安心しなさい」とぎこちなく微笑んだ。
「そう言えば、紹介が遅れたね……私は、房宗栄昭|《ふさむねひであき》だ。どうぞよろしく」
「鈴村和泉です」
おじさん──房宗さんが軽く頭を下げたので、私も同じように頭を下げる。
「私はご両親の知り合いでね……急な仕事で娘を置いていかないといけないから、預かってほしいと頼まれたんだ」
「知りませんでした、父も母も何も言ってくれなくて……」
房宗さんの目が鋭くなった気がした。