借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「そうか……最近、ご両親に変わったことはなかった?」
「両親はいつも通りで……あぁ、でも──」
私は房宗さんと会話しながら、学校の面談みたいだな、とのん気に考えた。
定時制の高校には入学したばかりだから、まだ個人面談はない。だから、中学三年生のときの面談を思い出していた。
校庭では部活動をがんばる生徒の声。廊下からは時々パタパタと誰かの足音。陽は傾いて、カーテン越しにもわかる柔らかい光。
担任の先生の口元をみる。本当にここでいいのか、と動き、もっとレベルが高いところも狙えるぞ、と唇をへの字にした。
先生、私は早く両親を楽にさせたいんです。
だから、こっちの高校がいいんです。
私の言葉に、先生はとうとう折れた。気が変わったならいつでも言ってくれ、と付け加えながら。
気が変わることは結局なかったけれど。
それでも、私は嬉しかった。