借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
そんなことを思い出しながら話していると、房宗さんが「ところで」と眉尻を下げた。
「これからどうやって暮らしていくか、当てはあるの?」
「いえ、全く……支援制度か何かを探して、それを利用しようと思います」
「そうか……」
房宗さんは一瞬だけ視線をさまよわせると、私と目をしっかり合わせて口を開いた。
「しばらくここで暮らさないか?」
「え……?」
思いがけない申し出に、理解が追いつかない。
「制度を利用するにしても、利用できるようになるまで時間がかかるだろう。その間だけうちで暮らすというのはどうかな?」
確かに、房宗さんの言う通りだ。制度を利用するなら書類を用意したりしないといけないし、時間がかかる。申請しても通らない可能性だってある。諸々を考えると、房宗さんの好意に甘えたほうが安全だろう。
だとしても。
「お気持ちだけいただきます」