借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
裏側にはひかえめなドアがひっそりとたたずんでいた。安田さんが開けて、先に私を通してくれる。
「ありがとうございます」
「靴は脱がなくて大丈夫だからね」
安田さんは無理に笑顔を作っていた。頬が引きつっているのを指摘する気にもなれず、「あの玄関マットを使えばいいんですね」と当たり障りのない会話をするだけだった。
安田さんに連れられて、洋館の奥にある小部屋に通された。椅子とテーブルしかない簡素な部屋で、安田さんに「ここで待ってて」と椅子を引かれて座らせてもらった。
明るいキャラメル色した椅子はちょっとだけひんやりしていた。だけどすぐに気にならなくなる。
この気候のおかげかなぁ、と私は窓の外を見た。緑が風の吹くままに揺れて綺麗で、爽やかそのものだ。