借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「あの親が捕まればどうせ嫌でもわかるんだ」
「だからって……」
「なぁ、あの子がどこまで保つかかけねぇ?」
振り向いた凛斗は、それはそれは悪い顔をしていた。瞳を爬虫類のように細め、獲物をどう痛ぶろうかとワクワクしてる顔。
俺は呆れるような、憐れむような目で、「そういう露悪的なとこ直したほうがいいぞ」とだけ言った。
凛斗はどうにも悪ぶって優しさを隠してしまうところがある。今回の件だってそうだ。
あえて真実をあの子に知らせることで、あの子をこの家から遠ざけようとしたんだろう。どんな扱いでもかまわないなんて、普通は絶望して出ていこうとする。
けどあの子は、ここで働きたいと願い出た。借金の返済に、少しでも貢献したいと。
こんな金貸しの、ヤクザの家に。
房宗組はこの地域一帯に根付く家で、主に治安維持を請負う家だ。金融業も営んではいるが、それはこの家のほんの一面にすぎない。