借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「優しいんじゃないよ、もっと別のやり方があったろう?」
「たとえば?」
「元の家に住んでもらって、お金だけ援助するとか」
「それで、あの子の親を誘い出す?」
「誘い出せるほど情があるならね」
俺の返しに、凛斗が何か言おうとした。
「凛斗坊っちゃん、オヤジさんが呼んでおいでです……」
だけど、安田さんが申し訳なさそうに顔を出したことで聞けずに終わった。凛斗はしかめっ面をしたが、観念したように肩を落とした。
「いってらっしゃい。しっかり叱られてこい」
「へい」
「うるせぇよ……」
二人がしょげかえって父さんの書斎へと向かうのを見送って、俺はひとまず自分の部屋に帰ることにした。
ドアを閉めて、ベッドに倒れ込む。足先は床につけたままだ。クリーム色の天井を見つめながら、どうなることやらとこれからの生活に思いを巡らせた。