借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「俺も二食分食べたい!」
口を尖らせて子どもみたいなことを言う颯斗くんに、私は笑って頷いた。
「いいですよ、食べ盛りですもんね」
「今日からでもいい?」
「はい、じゃあ早速──」
階段を降りてくる音が聞こえて、そっちへと顔を向けた。
凛斗くんが玄関まで足早に歩いてきた。こっちには目もくれない。
「おはようございます」
「……」
「凛斗」
颯斗くんに声をかけられても、凛斗くんは振り向きもせずスニーカーを履いてドアを開ける。そのまま後ろ手にドアは閉められて、バタンと乱暴な音を立てた。
ああ、どうしようもなく拒絶されてるなぁとエプロンの端をつかむ。
借金も返さずに消えたやつの娘だし、信用されてないのはしょうがないと切り替えようとしても、これが中々難しい。家事に集中して忘れようと思い、ご飯をよそうためにキッチンに足を向けた。