借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
私は二人に、「ご飯多めでいいですか?」とエプロンを結び直しながら訊いた。颯斗くんが答える前に、房宗さんが「普通盛りで頼むよ」と新聞を手に取った。
「ところで、さっきは二人で何してたんだい?」
……さすが父親と言うべきか、スルーしないで正面からストレートの球を投げてきた。
「和泉ちゃんの手が荒れてたから、ハンドクリームが必要だねって話してたんだ」
颯斗くんもさすがと言うべきか、いけしゃあしゃあと嘘を吐いてくる。
「そうか、それは気づかなかったな……。鈴村さん、お金は渡すから好きなハンドクリームを買ってきなさい」
私が断る前に、颯斗くんが口をはさんだ。
「今日の午後は安田さんに任せたら? 手を少し休ませたほうがいいよ」
「そうだな、昼に夕食の下ごしらえもすませてしまうだろう? なら後は安田に任せなさい」