借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
この二人は事あるごとに私休ませようとしてくる。仕事が増えるはずの安田さんまで彼らに味方するので、私には抗う術がない。
一度、安田さんにどうしてかと訊いてみたことがある。負担が減るのだから、私に任せてほしいと。
「子どもは勉強と遊びが仕事だよ、こういうのは大人に任せておけばいいの」
安田さんは目を細めて私に笑いかけくれた。両親からそんなことを言ってもらったことなどなくて、どう反応すればいいのかわからなかった。
それでも意地で、「具合が悪くなったときとかは絶対に言ってくださいね。家事ならいつでも代われますから」とは伝えておいた。安田さんは困ったような顔をしていたけど。
とにかく、私は彼らの好意を受け取るしかないのだ。
「ありがとうございます。ご飯よそっちゃいますね」
私は茶碗を持って、そそくさと炊飯器を開ける。立ち昇る湯気のいい香りに今日もホッとして、それぞれにご飯を盛った。