借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「ただいま戻りました!」
今度は玄関のドアが開く音がする。安田さんが帰ってきたのだ。
私は房宗さんと颯斗くんの前に茶碗を置くと、安田さんの分の茶碗を手に取った。
「安田、午後からはお前が家事をしなさい」
「えっ、和泉ちゃん具合悪いんですか?」
「手が荒れてるから休んでもらうんだよ」
「安田さん、お昼は私が作るので、引き継ぎよろしくお願いします」
私が安田さんの前にご飯を置きながら微笑むと、安田さんは胸を張って応えた。
「任せといて! この間教えてもらったチーズハットグも作るよ」
「え、いつ教えてもらったの?」
颯斗くんが、房宗さんによく似た雰囲気で笑顔を作る。何故だろう、ドス黒いオーラまで背負っている気がする……。
私と安田さんがそれに慌てるのを見て、房宗さんはただ優しく目をゆるませていた。