借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
駅近くのドラッグストアに寄り、ハンドクリームのコーナーまでやってきたはいいものの、どれにすべきか悩む。
一番安いやつでいいや、と値下げ品のコーナーを見てもなかったし、特売品のやつとかもない。どれもそこそこ値が張るし、単価が安いやつにしよう。
そう思って1グラム何円なるかをそれぞれ計算していたら、颯斗くんがひょっこり顔を出した。
「決まった?」
「ううん、もうちょい」
「この即効性があるやつにしたら?」
颯斗くんが指差したのは、老舗の化粧品会社が出しているやつだった。確かに効きそうだけど、千円もすするのは躊躇してしまう。
「人のお金で買うんだから、色々としっかり確認しないと」
私少し怒ったように言うと、颯斗くんは眉尻を下げて、「そんな大げさな」と笑った。
「そりゃ、颯斗くんとってはお父さんだもん」
「いや、自分の娘だと思ってるよ。父さんは」