借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜


 駅近くのドラッグストアに寄り、ハンドクリームのコーナーまでやってきたはいいものの、どれにすべきか悩む。


 一番安いやつでいいや、と値下げ品のコーナーを見てもなかったし、特売品のやつとかもない。どれもそこそこ値が張るし、単価が安いやつにしよう。


 そう思って1グラム何円なるかをそれぞれ計算していたら、颯斗くんがひょっこり顔を出した。



「決まった?」


「ううん、もうちょい」


「この即効性があるやつにしたら?」



 颯斗くんが指差したのは、老舗の化粧品会社が出しているやつだった。確かに効きそうだけど、千円もすするのは躊躇してしまう。



「人のお金で買うんだから、色々としっかり確認しないと」



 私少し怒ったように言うと、颯斗くんは眉尻を下げて、「そんな大げさな」と笑った。



「そりゃ、颯斗くんとってはお父さんだもん」


「いや、自分の娘だと思ってるよ。父さんは」
< 40 / 79 >

この作品をシェア

pagetop