借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
私がその言葉に目を丸くして黙ってしまうと、颯斗くんは「あっ」と表情を凍らせた。私の両親のことを思い出したんだろう。
「いや、違くて、そのくらい和泉ちゃんを大切に思ってるって話で……だから、ハンドクリームぐらい好きなの買っていいってつもりで……」
身ぶり手ぶりを大きくして弁解してるけど、ドラッグストアの狭い通路では迷惑だよ?
ほら、奥の通路にいるおばさんが不思議そうな顔で見てる。
「ありがとう、わかってるから……ちょっとびっくりしただけ」
私がそう苦笑すれば、颯斗くんは手を下ろして申し訳なさそうな顔になった。瞳に蛍光灯の光が当たって、少し潤んでいるようにも見える。
「デリカシーのないこと言ったよね、次から気をつけるから」
「ううん、嬉しかった」
颯斗くんがあからさまにホッとした雰囲気になる。
私はこの場を和まそうと、あまり考えないで口を開いた。