借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
学校から帰ったら、もう時計の針は十時を回っていた。気持ちも落ち着いている。
……これで、颯斗くんに会ったら平静なままでいられるだろうか。
やっぱり緊張しながら静かに入ると、安田さんに出会した。
「おかえりなさい、お疲れ様」
「ただいま帰りました」
安田さんの分厚い手に、スーパーの袋がぶら下がっているのに目を留める。
それに気づいた安田さんは、少し持ち上げて説明してくれた。
「醤油がなくなりそうだったから、さっき買ってきたんだよ」
「ああ、そうだった……ありがとうございます」
「いつもお世話になってるからね、このくらいはしないと」
安田さんは口元に笑いジワを作り、「じゃ、お休みなさい」と本館のキッチンへと向かった。
私はシャワーを浴びて、今日の復習をしてから寝てしまおうと二階へ上がると、部屋のドアノブに小さな袋がかかっていた。
何だろう?