借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜


 袋を取ってのぞいてみると、そこには未開封のリップクリームが入っていた。


 かわいいパッケージにはシールが貼られたままだ。取り出してみると、キャップも容器もかわいい。中高生に人気の、プチプラのやつだ。


 お姫様が使っていそうな、可憐な見た目にうっとりしていると、貼られているシールを見て気づく。


 これ、あのドラッグストアの……。


 もしかして、颯斗くん?


 袋の中を探ってみても、メモや手紙は入っていなかった。


 安田さんか、房宗さん?


 いやでも、直接渡してくれそうだしなぁ。


 そこまで考えて、私の脳裏には一番ありえない人物が浮かんできた。


 ……凛斗くんは違うな。うん、絶対にない。


 時々、彼から向けられる冷たい視線を思い出して一人頷いた。


 ここでこうしてもわかるわけじゃないし、とりあえず明日聞いてみよう。


 私はお風呂の準備をするために、ドアを開け部屋に鞄を置いた。

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