借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
次の日の午後、私は凛斗くんの部屋を掃除するために本館まで来ていた。
この洋館の部屋には、基本的に鍵がかからない。前に一度、外付けの鍵を買ってきて取り付けたことがあったがすぐに外されてしまった、と颯斗くんが愚痴っていた。
やましいことがないなら、別に鍵は必要ないだろう──房宗さんはそう言っていたらしいが、こればかりはプライバシーをもっと尊重してもいいんじゃないかと思う。
だけど、“そういう”家だからあえて鍵をつけてないんじゃないかと思ってもいる。隠しごとができないなら、たとえ何か企んでいても簡単に暴かれてしまう。
……単純に、鍵をつけるのが面倒なだけかもしれないけど。
まぁ、私があれこれ考えてもしょうがない。目の前の仕事を一生懸命やろう。
私はマスクをし窓を開けて、ハタキで本棚のホコリを払う。
ほぼ毎日のように掃除をしているから、そこまで汚れてない──というか、私が掃除をしなくても綺麗だ。