借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
凛斗くんだけが座らず、房宗さんを睨むような目で吐き捨てた。
「凛斗、座りなさい」
「この女追い出してくれよ! 親に言われて借金チャラにしようとしてるに決まってる!」
「違います!」
私は怒りと困惑が混ざったまま、二人の間に割って入った。
「私、颯斗くんが好きです」
はっきり言葉にしたことでどこか清々しい気持ちがしていた。恥ずかしさは微塵もない。
「それでも……私では真面目なお付き合いはできないんですよね?」
房宗さんにそう問いかければ、深い威厳をたたえた目は私を真っ直ぐに見つめた。
「そうだ。鈴村さんはきっと危険な目に遭う」
「だからです。凛斗くんと……“遊ぼう”と思いました」
私もしっかりと見つめ返した。だけど、視界の端に奇妙な安田さんの姿を確認した。
幽霊でも見たような顔で、両手で口を覆っている。
その視線の先には──颯斗くんがいた。