借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜


 そんなことをする暇があるなら、一分一秒でも早くあいつの親を探せばいいんだ。


 俺はあいつらの偽善者ぶりにむしゃくしゃしながら、ファストフードを口にするのが日課になってしまった。三食ずっとだから健康に悪い。


 それでもあいつの料理を口にするのは嫌だった。父さんの目論みに加担してしまいそうな気がして、怖かった。


 追い出してやろう、この家と二度と関わりたくないと思わせてやろうと決めて、徹底的に無視して、掃除も自分でやって……それでもあいつは根気強く俺に話しかけてきた。



「凛斗、お前、本気で追い出す気なんてないだろ」



 颯斗の呆れた声が、まだ耳に残ってる。



「本気で追い出したいなら、お前もっとえげつないことできるだろ?」


「そうだな、応援ありがとう」



 颯斗の言葉に、俺は腹をくくろうと決意した。


 心を鬼にして、あいつを追い出すんだ。


 追い出したところで、親を誘き寄せるエサにされるのは変わらない……その事実には目をつむって。
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