借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
俺は情けないことに、硬直して動けなくなってしまった。
だってそうだろ?
自分にあれだけ冷たくしてきた男が、ベッドに押し倒してきた。それだけじゃなく、本と引き換えに身体を要求してくる。
こんなやつと一分一秒でも一緒にいたくない。一つ屋根の下ですごすのもおぞましい。そう思うのが普通だろ。
予想外の行動に、俺は混乱しながらも次の手を考える。
「冗談だ」って言って離れるか、それとも服を脱がせてことを進めるふりをするか。
「坊っちゃん、今日のことで──」
あれこれ考えていたせいか、安田がそう言いながら入ってきても反応が遅れ、こいつの上から退けなかった。
「私から誘いました」
本当になんなんださっきから。
それから家族会議にまで発展し、俺は自分が襲ったことにして追い出す作戦に変更した。房宗組がこいつを監視するのは変わらなくても、極道の関係者だとは思われなくなるはずだ。