借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
それから色々な話をした。
私は学校でのことや房宗家のことを話し、お父さんは借金を返せる目処がついた……と思ったら、安心からお母さんが倒れてしまったのだと教えてくれた。
「そうだったんだ……じゃあ、ケガとか病気じゃないんだね?」
「ああ、言ったろう? 家で寝ていればよくなるから」
お父さんは目を細めて、バックミラー越しに私に微笑んだ。
「もう、房宗の人たちにこき使われなくてもいいんだ」
やたらとねっとりした甘い声に、心臓の裏側をなでられたような気分になった。
顔に出ないよう気をつけながら、「どこに行くの?」と訊いてみた。
車は私たちが暮らしていたアパートから、ずっと離れていくように思えたから。
「ああ、料亭だよ」
「料亭?」
思ってもいなかった言葉に、私はついおうむ返しをしてしまった。
「お祝いをしたくてね。お母さんも待ってるから」