借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「はーい」
何でもないようなふりでドアを開ける。蝶番がいつものようにギイギイ鳴った。
目の前には、骨太な感じの男の人が立っていた。パンチパーマに薄茶色のサングラスをかけている。歳は……お父さんよりちょっと若いくらいかな。
「あー、安田っていうんだけど、お父さんかお母さんいるかな?」
へらっとした挨拶をしてきた安田さんに、私は持っていた手紙を渡す。
「お父さんたちに、これを渡すようにとお願いされました」
「そっか……ちょっと待ってね」
安田さんは手紙を受け取ると、そのままそこで読み始めた。言われた通り大人しく待ちながら、こっそり観察してみた。
サングラス越しじゃ、どういう感情かわかりづらい。それでも、なんだか良くない雰囲気なのはなんとなくわかった。
「ええと、仕事でちょっとしばらく帰れないから……うん、うちの世話になりなさいって書いてあったよ」