借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
複数人の、大きな足音が響く。それに比例して私の心臓も大きな音を立てた。
「せめて女だけでも連れてくぞ」
「房宗め、どこで漏れた」
「おい、女がいないぞ!?」
男の人たちが苛立っているのが手に取るようにわかる。
私は目をつむって、両手を握り祈った。
お願い、どうか騙されてくれますように。
「ここか!?」
「いねぇな……おい! 隠れてないで出てこい!」
「なぁ、こっから逃げたんじゃないか?」
思わず深呼吸をしそうになって、慌てて口元を押さえた。
「ここ二階だぞ?」
「逃げられない場所でもないだろ」
「こっから屋根伝いに裏に回ったか?」
部屋の中を歩き回る音がして、彼らが押し入れに手をかける瞬間を考えてしまう。
小刻みに身体が震え出して、暗闇を必死に見つめ続けた。
「ここで話していてもしょうがない」
「そうだな、俺はこの部屋をもっとよく調べる」