借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「いつまでも見苦しいもん見せてんじゃねぇよ」
刺々しい言葉を吐き捨てながら、顔を明後日の方へと反らす。
耳が真っ赤だ。
私は反射的に下を見て──大急ぎで上着を着て前をしめた。
浴衣はぐちゃぐちゃで、下着が上も下も丸見えだった。
「着たよ」
私が浴衣の裾を直しながら言うと、凛斗くんは出入り口を指差した。
「外に安田がいる。後はあいつに任せろ」
「凛斗くんは? どうするの?」
「後始末してから帰る」
畳で伸びている強面の人に視線を向ける。たぶん、私が絶望している間に倒したんだろう。パッと見でもガタイがいいのがわかる。
すごいな、凛斗くん。
「ありがとう、凛斗くん」
「いいから、早く安田のとこ行け」
凛斗くんは私に背を向けながら無愛想に言い切った。
私はもう一度「ありがとう」と言うと、安田さんが待っている外へと急いだ。