借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
元々はベンチャー企業の社長と秘書だった二人は、贅沢三昧の生活をしていた。
だけど、不況のあおりを受けて会社は倒産。きらびやかな暮らしを忘れられない二人は、借金を繰り返してしまったのだという。
貧乏なふりをしていたのは私を騙してバイト代をむしり取るのが目的で、二人の名義の貸倉庫には高級品が山ほど押し込められていたそうだ。
「和泉ちゃんにとっては辛い話になっちゃったけど……」
「いいの。もう吹っ切れたから」
両親のこともそうだけど、申し訳なさそうな颯斗くんの顔を見てもドキドキしたりしない。
逆に、颯斗くんのせいではないのにこっちが申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「そう言えば、リップクリームの話はしたっけ?」
「あ、ああ、あれって颯斗くん?」
やっぱり彼だったのか。そう納得しそうになったけど、颯斗くんは首を振った。
「凛斗だよ」