借金のカタに売られたら、溺愛メイドになりました〜双子に翻弄されています〜
「凛斗くんが……?」
「そう。安田さんが見たって」
私は居ても立ってもいられず、凛斗くんの部屋へ行こうと立ち上がった。
「お礼、言ってくる!」
「うん、あいつ喜ぶよ」
颯斗くんの応援を背に、私は凛斗くんの部屋の前までスキップしそうな調子でやって来た。
少し咳払いをして、一回だけ深呼吸をしてドアをノックする。
「どうぞ……って何だよ?」
凛斗くんはツンとした顔で冷たい声を出した。
でも、もう怖くない。
「リップクリーム、お礼言ってなかったと思って」
凛斗くんが口をへの字にした。
「ありがとう。嫌われてると思ったから、嬉しかった」
「嫌いだなんて言ってねぇよ、むしろ──」
その先は聞けなかった。
「二人とも、安田さんがチーズハットグ作ったから食べてくれって!」
颯斗くんが部屋に飛び込んできたからだ。