あ、猫。
薄曇りの空の下。

トボトボと歩いていた。

ぽた…

その時。

雨が降ってきた。

あ。

そういえば。

もう梅雨だって、今朝電気屋さんのテレビで言ってたな。

アスファルトの地面をどんどんポツポツと黒く染め上げる。

傘は持っていない。

だからこのままじゃ、私の身体は濡れて行く一方だ。

どうしよう。

この雨、これからもっと激しくなるかな。

だったらどこかで雨宿りしようかなぁ。

少し考えたけど、幸い雨はずっと小雨で。

優しい雨だったから、いいかなと思った。

傘もささずに人通りの少ない街中を行く当てもなくただ歩く。

やっぱり雨は、気分が沈む。

だけど。

嬉しいこともある。

道の脇にはピンク色と青色の紫陽花が咲いていて、心が和んだ。

ちょうど通りかかった保育園からは雨がっぱを着た小さな子供たちがお母さんに手を引かれ、たくさん出てくるところだった。

その子達は私の方にチラと視線をやると満面の笑みを浮かべて、手を降ってくれた。

子供は可愛いなぁ。

無邪気で。元気で。

癒される。

そうしてまた1つ心が和んでいった。

 やがてだんだんと身体が重くなっていった。

小雨だからといって雨に打たれ続けていたら、いつの間にか水分を吸ってしまっていたみたい。

ブルル!と身震いした。

さ、寒い…。
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