親愛なる魔王の君へ#外伝~魔王になったので、世界平和を目指します!~
前日譚~魔王の誕生~
「クロード!」

俺がリビングで寝転がりながら本を読んでいると、ものすごい勢いでドアが開く。

それにびっくりして、顔の上に本を落としてしまった。

「……何?母さん。何で家にいるの?仕事は?」

体を起こしながら、朝に仕事があるからと家を出ていった母さんに向かって色々と質問を投げかける。

「近所の人から聞いたよ?無言で、しかも一人でカラミティの外に出たんだってね?」

「……」

まずい、バレた……どうしよ。

俺の住む町・カラミティの外には、野生のモンスターがいて、危ないからと俺が何かしらの称号を取るまではカラミティの外に出るのを禁止されている。

この町にある冒険者育成学校に入学すれば、授業で外に出られるらしい。

俺は、来月から冒険者育成学校に入ることが決まっている。

冒険者育成学校は全寮制っていうのもあって、荷物など色々と準備をしつつ、しばらくないであろう長期休みを満喫している最中。

「し、仕方ないでしょ!?たまたま、母さんと父さんが、カラミティの近くで任務を行っているって聞いたから……」

俺がそう言うと、母さんは「それって、つまり?」と問いかけてきた。

……これ、伝えたら母さんはどんな反応をするかな?……でも、言うべきだよね……。
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