親愛なる魔王の君へ#外伝~魔王になったので、世界平和を目指します!~
そう言っても止めないのが、俺の父親だ。恥ずかしいけど、満足するまで好きにさせておく。

少しすると、父さんは俺から離れた。

「よし、終わったし戻るか!」

そう言って、父さんは来た道を引き返す。

最高学年になって始まった任務実践も、この学校生活も、後半年で終わってしまう。

逆に言えば、後半年もすれば父さんや母さんみたいな冒険者になれる。

頑張らなくちゃ!

……なんて、意気込みながら、先頭を歩く父さんの背中を俺は歩きながら見つめた。

カサリ。

微かに聞こえる、茂みが揺れる音。その音が妙に気になって、俺は立ち止まる。音がした方から、誰かに見られている気がする。誰かに、来いと呼ばれている気がする。

立ち止まった俺に気付かず、皆は先に進んでいった。

「……」

皆を追いかけなきゃいけないのに、どうしてもさっきの音が気になって仕方ない。

気が付けば、俺は音がした方へと歩き出していた。後で皆に怒られるのを覚悟で。

「クロード」

少し歩いていると後ろから声をかけられて、俺は振り返る。

「……ノア……」

そこにいたのはノアで、ノアは心配そうに俺を見ていた。

「クロードが皆と別の場所へ行こうとしてたのが見えたから、追いかけてきたの……皆には、先に帰っているように言ってあるわ」
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