親愛なる魔王の君へ#外伝~魔王になったので、世界平和を目指します!~
「……そ、かぁ……何か、こっちから音が聞こえて……気になって……」

「……音?」

「うん。それに、視線も感じたから……」

ガサリ。

今度は、近くから音がする。その音を聞いて、ノアは素早く辺りを見渡した。

音がした方に近づくと、もう一度カサリと音がして、茂みから小さな黒猫が出てくる。猫は、青みがかった黒色のローブを着ていた。

『……お主、ディスペア家の人間だな?』

そう、猫が言う。猫が喋ったことに、俺は驚いた。

『そう驚くでない。私は、呪具の化身だ。私の主になるはずだった人物を、探しておる』

「……呪具?」

俺が首を傾げると、猫さんは『やれやれ、ディスペア家の人間だというのに知らないとは……』と呆れたように言う。

『どれ、少し教えてやろう』

そう前置きをして、猫さんは色々と説明をしてくれた。

呪具とは、触れたものを呪う道具で呪耐性のある人しか扱えないのだという。

そして、ディスペア家は呪具を封印出来る特別な力を有していて、代々呪具を封印しているらしい。その呪具は、俺のおじいちゃんの家にあるそうだ。

『……そして、魔王はお前の家が所有する呪具を狙っている。その呪具を使って、カラミティを破滅させる気だ』
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