親愛なる魔王の君へ#外伝~魔王になったので、世界平和を目指します!~
俺は、小さい頃からおじいちゃんが大好きだった。優しくて、色んなものをくれて。

でも、気軽にはおじいちゃんに会えない。

おじいちゃんが住むのは、カラミティの近くにある森の中だし、家には色んなモンスターがいるからね。おじいちゃん、魔物使いだから。

久しぶりにおじいちゃんに会える……楽しみだな!



あれから2日後、俺は父さんと一緒におじいちゃんの住む館に向かうために、カラミティの近くにある森の中を歩いていた。

歩いていると、近くからガサリと音がして、父さんは足を止める。俺も、釣られて足を止めた。

「……クロード、俺の後ろに隠れていてね」

「分かった」

俺は戦えないから、素直に父さんの背中に隠れる。父さんは剣の柄に手をかけていて、その姿だけでもとてもかっこいい。

俺も、父さんみたいなかっこいい冒険者になれるかなぁ。

そんなことを思いながら、俺はそっと前を覗く。

近くの茂みが揺れて、そこから出てきたのは、黒い毛の大きな狼型のモンスター。モンスターの歩き方は、どこか変だ。

「……父さん、あのモンスター……怪我している!」

俺は、そう言うとモンスターに走って近づいた。後ろから、父さんの「クロード!」という声が聞こえる。
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