親愛なる魔王の君へ#外伝~魔王になったので、世界平和を目指します!~
おじいちゃんの言葉に、男性は目を見開いた。そして、考え出す。

少し悩んでいた男性が出した答えは、ここで暮らす、だった。

「決まりだ。君、名前は?」

「……ありません」

「そうだな……リル。リルという名前はどうだろうか?」

「……え?名前、いただけるんですか?」

ポカン、とした表情で男性はおじいちゃんを見る。

「もちろんだとも。名前がないと、何かと不便だろう?」

「……ありがとう、ございます……私の名前は、リル……気に入りました!」

そう言って、男性――リルは嬉しそうに笑った。



今日から、俺は冒険者育成学校の学生となる。入学式が始まるまでの間、俺は今日から暮らすことになる寮の一室で荷物を片付けていた。

この学校の寮は、2人部屋……なんだけど……。

同室者であるもう1人は、まだ来てないみたい。同室者、どんな子なんだろう。楽しみだな。

なんて考えていたら、部屋のドアがノックされて、ドアが開く。そこにいたのは、ふわふわとした金髪の男性。

「……初めまして。今日から冒険者育成学校の生徒になります、レオン・アレクサンダーです。レオンって呼んで。よろしくね」

にこりと笑って、彼――レオンは自己紹介をした。
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