どこの誰よりも、先生を愛してる。
結局、ロングホームルーム内に皆の面談は終わらなかった。
放課後、残された最後の私。
柚木先生には部活に遅れる旨を伝えて、教室で待機をしていた。
「……平澤、すまんな」
「……」
一旦職員室に戻っていた先生。
厚めのノートと筆記用具を持って、教室に戻って来た。
私の隣に座る先生。
優しそうに口角を上げている表情を見て、思わず私は唇を噛んでしまう。
「早速なんだが、進路は……大学進学って希望票に書いてあるけれど。間違いないか?」
「……はい」
「因みに、行きたい大学とか、何を学びたいとか。そう言うのは決まっている?」
「いいえ」
「……そりゃ、出遅れているな」
「……」
高校入学してから、河原先生のことばかりで。進路なんて全然考えてなくて。私自身、自分が何をしたいのかも……全く分からない。
「まぁ、でも」
そう言って手を叩き、また微笑む河原先生。
「大丈夫、今から取り戻せば。相談にも乗るし、また進路について……教えてな」
「……はい」
胸が……痛い。
『好き』の真相を聞き出してやると、心に決めていたのに。いざ言葉に出そうとすると、何故か胸が痛んで……苦しい。
「……じゃあ、他になんか話しておきたいことはあるか?」
「………」
「平澤?」
「…………っ」
今しか、ない。
ここしかない。
そう思い、意を決した。