どこの誰よりも、先生を愛してる。

高校教師



 結局、高校最後の1年間は、本当に河原先生と話さなかった。

 だから当然、私が高校教師になる為に頑張っていたことも、河原先生は何も知らないまま……私は高校を卒業した。






 その後、無事に大学進学をしてもまだ、勉強を教え続けてくれた柚木先生。








 ずっと私を支えてくれて。


 何度も告白されて。


 その都度、お断りをして。


 挫けそうになる度に、喝を入れてくれた。



 柚木先生……。









「……菜都さ、柚木先生と付き合いなよ。マジで」
「それ言う?」




 同じ大学に進学した……愛理。

 仲直りをしてから元通りになるまで、時間はかかったけれど。

 今ではもう、大丈夫。大切な、大切な……幼馴染であり、親友だ。





「柚木先生の方が良いって、マジで。今も勉強教えてくれるとか、愛が強すぎる」
「そう思うけれど……」
「河原先生より絶対良いって、マジで」
「……何回、マジって言うの?」
「何回でも。だって、マジでそっちの方が良いもん」
「…………」





 溜息が出そう。


 頭の片隅では私だってそう思ってしまう。

 けれど……。




「やっぱり、河原先生が好きだから」
「こっちも愛が強いからダメかぁ」




 そんなこと言いながら笑った。







 圭司は地元から離れて、遠くにある大学に行った。



 私と河原先生のことを知った後は、特に好きだとか言ってくることもなく、普通の幼馴染としての距離感を保っていた。

 そして今も、たまに連絡のやり取りをする。



 一方の愛理と圭司は仲直り出来ていない。

 やはり、恋愛感情が絡むと修復は難しいのかもしれない。




 けれど、愛理も何だか吹っ切れたようで。

 最近は誘われた合コン全てに顔を出していた。




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