どこの誰よりも、先生を愛してる。
未来
新学期が始まり、新たな生活のスタート。
私は2年3組の担任と、インターアクト部の顧問になった。
そして不思議なことに。
クラスの副担任は河原先生。
インターアクト部の副顧問は柚木先生なのだ。
若手を主にして、ベテランが副として付くのは良くあること。
しかし、この2人にする必要は無いと思う。
誰かの差し金ではないか。つい、そんなことを考えた。
「平澤先生、運命ですね」
「……そうやって呼ばないで下さい。柚木先生」
「いやだって、僕も慣れないといけませんから」
「……」
昼休みの国語科準備室。
柚木先生と2人でお弁当を食べていると、やっぱり高校時代を思い出す。
「柚木先生は今もコンビニ弁当なんですね」
「勿論です。……平澤先生が僕にも作ってきて下さるなら、喜んで頂戴しますが」
「…………」
これでも、恩師。無下に出来ないから返答に困る。
「……」
口角を上げたまま黙っていると、ノックも無く部屋の扉が開いた。
そして入ってくる……河原先生。
「ちょっと、河原先生。せめてノックして下さい。というか、数学教師は立ち入り禁止です」
「……そんなルールは無い」
私の横に来て頭を数回撫でる。
そんな河原先生に私は、作ってきたお弁当を差し出した。
「今日もありがとう」
「いえ、自分のを作るついでですから」
渡したお弁当を持って、部屋に据えられているソファに座る河原先生。
それを見た柚木先生は小さく唇を尖らせる……。
「ついでなら、僕もお願いします」
「えぇー……」
何回も言うけれど、恩師だから。柚木先生の言葉に対する返答に迷う。
「……」
黙って考えていると、河原先生が小さく声を上げた。
「……ダメだな。俺だけの特権だから」
「…………」
その言葉に、思わず顔が赤くなる。
ドキドキしながらお弁当を食べ進めると、柚木先生は呆れたような声で……
「河原先生、キャラ変わってませんか?」
と、一言呟いた。