どこの誰よりも、先生を愛してる。


「……河原先生に、告白した」
「はぁ!?」


 翌日の朝。

 学校に行くのが少し憂鬱……という感情は抑え、今日もきちんと登校をする。

 いつも一緒に行動している、幼馴染の渡津(わたづ)愛理(あいり)三崎(みさき)圭司(けいじ)の3人で。


「菜都、告白は駄目だよ。担任なのに気まずいよ、絶対」
「それでも抑えられなかったんだもん」


 愛理と圭司は2人とも頭を抱えながら少し俯いた。


「しかし……何でよりによって河原なんだよ。菜都の心情が心配」
「何でって……。圭司にはない、大人の魅力が素敵だから。圭司と河原先生は同じ名前なのに、比にならない」
「何それ、俺と比較しないでくれる!? てか、読みが【けいじ】で同じなだけで、漢字は違うから!」


 3人横に並んで、ギャアギャア言いながら学校を目指した。騒がしいのは、いつも通り。



 本当は、河原先生とは年の差がありすぎることは分かっている。

 両親の方が、先生と年が近いし。
 何より私では釣り合わないってことくらい分かっている。

 だけど、そんなことどうでも良いと思うくらい好きなんだ。河原先生のことが。


 勿論、きちんと河原先生のことが好きな理由もある。でもそれは、またのお話。


「菜都のこと昔から知っていて理解しているつもりだけどさ。河原先生に片想いだけは、どう頑張っても無理だわ。理解できない」
「こんな小さい学校で気まずくなったらどうすんだよ」


 良いよ。
 理解できなくても。

 誰かに理解して貰いたいとは、思っていないから。それは例え幼馴染でも例外は無い。



 そんなこと思いながら、1歩ずつ歩みを進める。

 学校の校門まで、あともう少し。




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