どこの誰よりも、先生を愛してる。
出頭
「はい、始めます」
「姿勢を正して、礼」
朝のショートホームルーム。教壇に立っている河原先生はいつも通りだった。
「今日は前に配布したアンケートの回収日だ。もし忘れた奴がいたら職員室に来て自首すること。連絡はこのくらいだ」
そして河原先生は、黒い出席簿とスケジュール帳をパタンと閉じて一言。
「あと、平澤。お前は問答無用で、放課後職員室に出頭な。忘れんなよ」
そう言い残して、教室から出て行った。
「……え?」
フリーズしたまま固まっていると、ニヤニヤした愛理と圭司が近付いて来る。
「菜都、出頭……!」
「出頭って、警察署などに行くときに使う言葉だよな。職員室に出頭は違うと思う」
「出頭とか自首とか。きっとそんな言葉を使いたいお年頃なのよ!」
「いや、言うてオッサンじゃん」
私の横でそんな会話をする2人。
出頭って、何だろう。
昨日のこと?
しかないよね。
盛り上がっている幼馴染を横目に、当の私は無性にドキドキしていた。