どこの誰よりも、先生を愛してる。


「はい、始めるぞ」
「姿勢を正して、礼」


 いつも通りのショートホームルーム。


 河原先生とも変わらず、特に何も無い。最低限の会話しかしない、ただの先生と生徒だ。




「体育祭が終わった。次は期末考査。そして夏休みがやってくる。実質あと1ヶ月半くらいか。……それまで気合い入れて、残りの1学期を過ごすぞ。……てことで、今日の連絡は以上だ」



 出席簿をパタンと閉じ、手に持つ。
 そして眼鏡をクイッと押し上げて歩き出す河原先生を、ボーッと眺めた。



 何も無い。
 何をどうすれば良いかも分からない。


 河原先生と会話をするには、何をどうしたらいいのか。


 もう何も分からない……。




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