どこの誰よりも、先生を愛してる。

交錯する想い



「平澤。担任として聞くんだが、渡津と三崎の2人と何かあったのか?」
「え?」




 ある日の放課後。

 河原先生に教室に残れと指示されて残って居ると、先生からそんな言葉が飛び出して来た。



「いつも3人一緒だったのに、今はたまに渡津と一緒に居るくらいで、バラバラになっているじゃないか」
「…………」



 じわっと目に涙が滲み始める。

 愛理と圭司に対する思いと、目の前にいる河原先生に心拍数が上がって苦しく辛い気持ち。その両方が私の心を支配する。



「……な、何も無いです。先生が気にするほどのことではありません」


 滲む涙を拭い、鞄を手に持った。
 口角だけを上げて河原先生に微みながら教室を出ようとすると、先生は眉間に皺を寄せる。


「平澤」
「……」


 河原先生の低い声。
 それにまた、私の心臓が飛び跳ねる。


「俺は担任だ。ちゃんと話してみろ」
「……っ」



 担任だから。


 先生のその一言に、今度は涙が零れ始めた。




「……ですよね。『担任だから』心配なだけですもんね」
「えっ」
「良いです、先生。私が先生のこと好きだから、変に気を遣わせてしまっていますよね。……本当に、すみません」
「ちょ……」
「帰ります。さようなら」
「ちょっと待て、平澤!!」



 叫ぶ河原先生を無視して教室から飛び出す。



「平澤!!!」



 私自身、自分の感情が全然分からない。溢れて止まらない涙をただ拭うしかなかった。



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