どこの誰よりも、先生を愛してる。

自分のけじめ side 河原

(side 河原)



 文化祭実行委員会の活動を終えて平澤を帰らせた後、柚木先生と2人になった俺は、思わず要らないことを口走ってしまった。


「お前まだ、平澤とキスしているのか」
「……何ですか突然。それ、河原先生に関係ありますか?」
「…………」


 目を細めながら口を尖らせる柚木先生。

 その表情からは、感情が何も読み取れない。


「河原先生こそ、急に態度を変えてどうしましたか。気持ち悪いですよ」
「気持ち悪いの一言は余計だ。お前が中途半端だって言うから。ちゃんとしようと思ってんだ」
「……結局、それすら中途半端です。平澤さんの想いに応えるつもりが無いなら、止めて頂きたい」
「……お前には、関係ない」
「…………」


 キリッと俺の顔を睨んで、柚木先生は何も言わずに多目的教室から出て行った。


「……はぁ」


 頭が痛い。

 俺自身、平澤に対しての感情があやふやで、上手く言葉にはできない。



 最近、俺もおかしいんだ。

 抱きつかれても嫌な気がしない。

 つい頭に触れたくなる。

 柚木先生と楽しそうに話していると、心がモヤッとする。




 どうかしている。

 高校生なんて子供だと、最近まで思っていたはずなのに。最近の自分の感情がよく分からない。





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