どこの誰よりも、先生を愛してる。
多目的教室から職員室に戻る道中、平澤につい言ってしまった『元嫁』というワードを思い出していた。
忘れていたはずなのに。
折り紙でつい、思い出してしまった。
元嫁とは、7年前に離婚した。
身内以外、誰にも言っていないけれど。
実は元生徒だ。
俺が25歳の時、元嫁は高校3年生だった。
元嫁は数学が異常にできなくて、毎日補習。
ついに部活も辞めて、毎日毎日……2人で数学の補習をしていた。
あの頃は俺も若くて幼かったから。
補習を通して特別な感情を抱くのに……そう時間はかからなかった。
元嫁の方から卒業式の日に告白されて、断る理由なんて無いから受け入れて……。
それが全ての始まり。
保育士になりたいと短大に進学した元嫁とは、採用された保育園での勤務が落ち着いてきた頃に結婚をした。
俺が31歳、元嫁が24歳の時のこと。
あの頃は幸せだったのに……。
「………」
嫌なこと、思い出したな。
首を軽く振り、頭から元嫁を追い出す。
気持ちを切り替えて職員室の扉を開けようとすると、背後から声が掛かった。