幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
『お疲れ様です。安浦先生の家政婦さんが、長期休暇らしく、私が毎日洗濯をすることになりました。今日は、先生の家で洗濯をしてから会社に戻ります。明日からは、退社後にお見舞いして洗濯するようにします』

 ……と、こんなものかな。
 送信ボタンをタップすると、数分後に返事が来た。

『お疲れ。退社後に病院と安浦先生の家を往復してたんじゃ、帰りが遅くなるだろ? 俺も外回りが多いし、おまえが暇だろうから、見舞いと洗濯は外回り扱いで、昼間にしててくれていいよ!』

 ……暇!? 手が空いた時は、編集部のお手伝いもしてるんですけど!?
 なんだか、ちょっと癪に触る言い方だけど、一応気を遣ってくれているってことでいいのよね?
 
 手持ち無沙汰になってしまった。
 お掃除……は、する必要もないくらい綺麗だ。

 「……そうだ」

 私は、ダイニングテーブルにノートパソコンを置く。

「これ……。続き書いてみようかな……」

 社会人になってから、ずっと放置してあった、書きかけの小説。
 安浦先生にお会いしたら、なんだか久しぶりに書きたくなった。
 洗濯が終わるまで、あと35分。
 私は、集中して文字を入力し始めた。
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