幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
「私は、それほど器用ではないので。会社にいる間は敬語で、社長と呼ばせていただきます。それに、公私混同してしまったら、家庭の不満もここで言ってしまいそうで」
 
 意地悪く笑って、裕貴のネクタイを直しながら言う。

「うっ……。悪かったよ……」
「謝罪の言葉よりも、行動して見せてくださいね」
 
 そう言うと、裕貴は私の腰をぐっと引き寄せ、キスをしてきた。

「んんっ……!?」

 裕貴の少し冷えた唇が、私の唇を優しく包み込むように吸い付いてくる。
 そういえば、最近忙しくて、こんな触れ合いもなかったなぁ……なんて思うけど。
 
「も、もう! そういうことじゃないって!」
「ははは! じゃあ、会議行ってくる」

 もう! 本当に調子いいんだから!
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