幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
「そうだ。今度、お礼も兼ねてごちそうさせて下さい」

 後片付けをしている時に、桐人さんが言ってきた。
 
「そんな、仕事の一環なのに」
「僕がお願いしたのは、父の洗濯物だけですよ。それ以外は頼んでいません」
「すみません、差し出がましいことを……」
「謝るのなら、おとなしく誘いを受けて下さい。そうですね……あなたが気にされるのでしたら、これも仕事にしましょう! 穂鷹出版とマクベリの交流として!」

 我ながらいいアイデアだと言わんばかりに、桐人さんは笑顔になった。
 どうやら、何がなんでもお礼がしたいらしい。
 私は観念し、桐人さんと食事に行くことになった。
< 20 / 51 >

この作品をシェア

pagetop