幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
翌日、梅雨入りも本格的になって、残念ながら天気はあまり良くなかった。
いつものように電車で病院へ行き、安浦先生の洗濯物を受け取ると、安浦家に行く前に駅前で桐人さんと待ち合わせた。昼休みの間にランチだけ、ということだそうだ。
「お待たせしました。行きましょうか、近くに美味しい天ぷら屋があるんです」
桐人さんは営業職なだけあって、接待などの経験もあるのだろう。
予約をしてくれていたらしく、行動がとてもスマートだ。
落ち着いた店内のカウンターに座り、料理を待つ。
照明が少し暗いと思ったら、料理の色合いを引き立てているのだそうだ。
やがて目の前の皿に、揚げたての天ぷらが乗せられる。
備え付けのゆずの香りが、ふわりと鼻をくすぐって、とても美味しそうだ。
「いただきます」
サクッと音を立てて噛むと、野菜の甘みが口に広がる。
「……美味しい!」
「でしょう? 僕も昔、職場の先輩に連れてきてもらったんですが……。もう一度来たいと思っていたんです。でも、なかなか一人じゃ入れなくて」
次々と揚げたての天ぷらが出来上がり、塩や天つゆをつけて食べる。
けれども、何もつけなくても美味しくいただけるのが、本当に驚きだった。
桐人さんはその後も、いろんな話をしてくれた。
ほとんどが仕事の話で、まるで接待のようだったけれど。
私に気を遣わせないようにしているのが伝わって、それが嬉しかった。
たった一時間だけだったけど、久々に楽しい食事ができた気がする。
いつものように電車で病院へ行き、安浦先生の洗濯物を受け取ると、安浦家に行く前に駅前で桐人さんと待ち合わせた。昼休みの間にランチだけ、ということだそうだ。
「お待たせしました。行きましょうか、近くに美味しい天ぷら屋があるんです」
桐人さんは営業職なだけあって、接待などの経験もあるのだろう。
予約をしてくれていたらしく、行動がとてもスマートだ。
落ち着いた店内のカウンターに座り、料理を待つ。
照明が少し暗いと思ったら、料理の色合いを引き立てているのだそうだ。
やがて目の前の皿に、揚げたての天ぷらが乗せられる。
備え付けのゆずの香りが、ふわりと鼻をくすぐって、とても美味しそうだ。
「いただきます」
サクッと音を立てて噛むと、野菜の甘みが口に広がる。
「……美味しい!」
「でしょう? 僕も昔、職場の先輩に連れてきてもらったんですが……。もう一度来たいと思っていたんです。でも、なかなか一人じゃ入れなくて」
次々と揚げたての天ぷらが出来上がり、塩や天つゆをつけて食べる。
けれども、何もつけなくても美味しくいただけるのが、本当に驚きだった。
桐人さんはその後も、いろんな話をしてくれた。
ほとんどが仕事の話で、まるで接待のようだったけれど。
私に気を遣わせないようにしているのが伝わって、それが嬉しかった。
たった一時間だけだったけど、久々に楽しい食事ができた気がする。