幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
「今すぐってわけじゃないけど、結婚を前提に……。ダメか?」

 真っ直ぐに私を見てくる幼馴染の裕貴が、途端に男の人に見えた。
 裕貴はモテるのに、私なんかでいいんだろうか?
 ああ、ダメダメ。こんな考え方じゃ、また裕貴に叱られてしまう。
 私は、俯き加減で思いっきり首を横に振って、顔を上げた。
 
「ううん、ダメじゃない」

 そう返事をすると、裕貴は右手の薬指に指輪をはめてくれた。
 左手は、結婚する時に……ということなのだろう。
 
 私たちは婚約者となり、仕事の効率化も兼ねて一緒に住むことになった。
 これから、甘酸っぱくてくすぐったい、そんな生活が待っていると信じて疑わなかった。
 しかし、数ヶ月も経った頃……。
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