幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
***
一年前、私が病院の屋上で桐人さんに相談した時。
安浦家にお世話になると決めた後、桐人さんが真剣な表情で話しかけてきた。
「真宮さん、この件、父にも話しましょう」
「どうしてですか? 安浦先生に知れたら、穂鷹出版に迷惑がかかります。これは、私と裕貴の問題です」
「そうかもしれません。ですが、仮にも出版社の社長が原稿を破るなど、あってはならないことです」
たしかに桐人さんの言う通りかもしれない。
でも、もしそれで安浦先生と穂鷹出版との間に溝ができてしまったら……。
「原稿は作家の命です。真宮さん、報復しましょう。あなたは、家を飛び出さなければならないほどのことをされたんです」
報復……。そこまで考えたことがなかった。
ただ、小説を完成させて見返すことができれば、と……。
「僕が力になります。必ずあなたを守ります。だから、父に協力してもらいましょう」
桐人さんの真剣な眼差しに胸を打たれ、私は決意した。
一年前、私が病院の屋上で桐人さんに相談した時。
安浦家にお世話になると決めた後、桐人さんが真剣な表情で話しかけてきた。
「真宮さん、この件、父にも話しましょう」
「どうしてですか? 安浦先生に知れたら、穂鷹出版に迷惑がかかります。これは、私と裕貴の問題です」
「そうかもしれません。ですが、仮にも出版社の社長が原稿を破るなど、あってはならないことです」
たしかに桐人さんの言う通りかもしれない。
でも、もしそれで安浦先生と穂鷹出版との間に溝ができてしまったら……。
「原稿は作家の命です。真宮さん、報復しましょう。あなたは、家を飛び出さなければならないほどのことをされたんです」
報復……。そこまで考えたことがなかった。
ただ、小説を完成させて見返すことができれば、と……。
「僕が力になります。必ずあなたを守ります。だから、父に協力してもらいましょう」
桐人さんの真剣な眼差しに胸を打たれ、私は決意した。