幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
 私たちは、病室に戻って安浦先生に話すことにした。
 あまり日を跨ぐと、裕貴と鉢合わせてしまう可能性が出てくるため、話すなら早い方がいいとの判断だった。先生の体調も気がかりだったけど、もうすぐ退院できると聞いて安心した。
 
「穂鷹社長が……? ううむ、にわかには信じがたい」

 安浦先生はベッドの上で腕を組んで考え込んだ。
 そうだ、裕貴は編集時代、先生の担当をしていた時期がある。
 私なんかよりも、ずっと付き合いが長いはずだ。
 いくら私が裕貴の悪行を訴えたところで、そう簡単に信じてもらえるはずがない。
 どうすればいいだろうか、と考えていた時、タイミングがいいのか悪いのか、裕貴からスマホメッセージが来た。
< 43 / 51 >

この作品をシェア

pagetop