幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
作戦はこうだった。
私は、安浦家にお世話になりながら原稿を完成させる。
そして、退院してきた安浦先生に読んでもらう。
「父さん、この原稿どうかな? 僕は面白いと思うけど」
「ふぅむ……。少々粗はあるが、なかなかいいね」
「これを使って、穂鷹社長を見返してやれないかな……?」
「ううむ、陽瑛出版に話を持っていってみるか……。もちろん、書籍化できるかどうかは、陽瑛さん次第だけどね……」
書籍化しなくともできる報復のパターンも考えていたが、書籍化できれば尚良かった。
「それでさ、父さんの出版記念パーティーで……」
「ほう、それなら、穂鷹社長には悪いが、一つ罠を仕掛けさせてもらうか。真宮くんと同席してもらうように言っておこう。きっと、血眼になって真宮くんを探すだろうよ」
安浦先生は、まるでご自身のミステリー作品に出てくる犯人のような、悪い顔で笑った。
たしかに、それならさらに裕貴にドッキリを仕掛けることはできる。
「それだと、ちょっと弱いな。社会的なダメージは与えられるかもしれないけど……。そうだ!」
桐人さんは、何かひらめいたようで、私の手を取った。
「真宮さん、僕たち、婚約しましょう!」
「はい!?」
婚約!?
私と、桐人さんが!?
「僕たちが婚約すれば、穂鷹社長に一泡ふかせることができます」
「つまり……裕貴に仕返しするまでの間……ということですか?」
「そ……そうですね……」
桐人さんは、困った顔をしていた。どうしたんだろう?
でも、一時の仮初とはいえ、桐人さんのような素敵な人と婚約者だなんて。
私の心に、少しだけ幸せの灯がともったような気がした。
私は、安浦家にお世話になりながら原稿を完成させる。
そして、退院してきた安浦先生に読んでもらう。
「父さん、この原稿どうかな? 僕は面白いと思うけど」
「ふぅむ……。少々粗はあるが、なかなかいいね」
「これを使って、穂鷹社長を見返してやれないかな……?」
「ううむ、陽瑛出版に話を持っていってみるか……。もちろん、書籍化できるかどうかは、陽瑛さん次第だけどね……」
書籍化しなくともできる報復のパターンも考えていたが、書籍化できれば尚良かった。
「それでさ、父さんの出版記念パーティーで……」
「ほう、それなら、穂鷹社長には悪いが、一つ罠を仕掛けさせてもらうか。真宮くんと同席してもらうように言っておこう。きっと、血眼になって真宮くんを探すだろうよ」
安浦先生は、まるでご自身のミステリー作品に出てくる犯人のような、悪い顔で笑った。
たしかに、それならさらに裕貴にドッキリを仕掛けることはできる。
「それだと、ちょっと弱いな。社会的なダメージは与えられるかもしれないけど……。そうだ!」
桐人さんは、何かひらめいたようで、私の手を取った。
「真宮さん、僕たち、婚約しましょう!」
「はい!?」
婚約!?
私と、桐人さんが!?
「僕たちが婚約すれば、穂鷹社長に一泡ふかせることができます」
「つまり……裕貴に仕返しするまでの間……ということですか?」
「そ……そうですね……」
桐人さんは、困った顔をしていた。どうしたんだろう?
でも、一時の仮初とはいえ、桐人さんのような素敵な人と婚約者だなんて。
私の心に、少しだけ幸せの灯がともったような気がした。