幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。

2 作家先生のご令息

「安浦先生が、入院!?」

 無理をされていたのだろうか、今は新作に向けて話し合っている期間だと、編集部からの噂で聞いたことがある。
 
「しのぶ、悪いが俺の代わりに、この病院までお見舞いに行ってくれ。お見舞いの品は任せる」

 裕貴から渡されたメモには、病院の名前が走り書きされていた。
『市立中央病院』と、なんとか読み取れた。
 よほど焦って書いたのだろう。
 
「それはいいけど……。でも、社長が行かなくていいんですか?」
「今から人と会う予定が入ってるんだ。お見舞いは後日改めて行く。先生にお詫びしておいてくれ」
「わ、わかりました……」

 人と会う……? そんな予定入っていたかしら……?
 いつもはスケジュール管理も私に投げっぱなしなのに、今日に限って……?
 ……考えすぎかな。きっと、先生が入院されたから、焦って自分でスケジュールを確認したのね。
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