冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
「何度も言ってるでしょ、昼休み以外は立ち入り禁止」

二時間目の休み時間、校舎の屋上の隅で寝ている架月に声をかける。

「教室戻って」
「うるせえなぁ……放っとけよ。学校来てやってるだけマシだろ」
「そういうわけにはいかないよ。生徒会長として、立ち入り禁止の場所への侵入は認められない」

志月が生徒会副会長で、どういうわけか私の方が生徒会長。

架月が舌打ちする。
「マジでうるせえ……」
そうボヤいて、架月の大きな身体がムクッと起き上がる。
このまま教室に行ってくれることを願いながら、彼の後について屋上を出る。

〝ガチャッ〟って私が鳴らした音に、階段をおりかけていた架月が振り返る。

「これからは昼休み以外は鍵、かけることにしたの」
にらまれるのは、想定内。
「志月と一緒に先生に相談したの。これからは生徒会で管理するから」
「……お前、本当にうぜぇな」

そう言って、架月が階段をのぼってこっちにくる。
「出せよ、鍵」

今閉めたドアを背に追いつめられる。
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