冷たい月 ー双子の幼なじみと消えない夜の傷あとー
放課後。

「陽波」
教室のドアのところから、迎えに来てくれた志月に呼ばれる。
「やっぱりもう付き合ってるんだよね?」
ニヤけた星良の目。
「ちがうよ、一緒に勉強してるだけ。塾みたいなもんだよ」
「〝会長と副会長はお似合いだ〟ってみんな言ってるよ」
ニヤニヤ顔の星良を無視して、志月と下校する。

「架月、結局五時間目まで戻ってこなくて。戻って来たら来たで、ずーっと寝てた」
「まあ、教室にいただけマシかな。ていうかあいつの場合、登校してただけマシだろ」
志月の発言に、思わず「クスッ」と笑う。
「架月も言ってた。『来てやってるだけマシだろ』って。やっぱり双子だね、言い方が似てる」
「そうかな」
めずらしく、少しご機嫌ナナメな感じの志月の声。
「あ、文房具屋さんに寄りたいな。ノート買いたい」
「それって架月に渡すノート?」
彼の質問に、コクッとうなずく。
「買っても買ってもすぐ無くなっちゃうんだよね」
苦笑いで言う。

「そんなことしなくていいんじゃない?」
「え?」
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